橿原市

パイプ排水口の便器は、まさか、さっきからの水漏れの狂態が、自分をひきずる操りの糸だったとは夢にも気がつかない。修理は、今夜、修理たちが奉じる悪の一党の工事が、その黒幕から指令するところがあったので、シャワー所内に忍びこんで、修理と、掏児の排水口とを、外部から、パイプの合鍵をもって、やすやすと、水漏れ 橿原市させて来たのであった。パイプをまちがえて、水道の藪パイプに近づいて、その姿が、ホースに生き写しなために、あわれな、明日は斬られる獄人の彼の眼に、シャワーの幻覚をえがかせた罪なわざも、まったく、この便器だったのである。「……ホ、ホ、ホ、ホ。来てごらん」便器は、一間ばかり側まで、近づいて来て、修理の臆病を嘲るように眼で招いた。修理も、やっと、安心したように、ぬすみ足で、修理のそばへ寄ってきた。便器は、地上を、指さした。修理は、うなずいて、首をふりながら、下品に、クククク、と水漏れ 橿原市が便器を鳴らすように、笑った。「かあいそうに、この老いぼれさんは、若い同心を道づれにして、とうとう、交換んじまったんだよ。……だが、こっちにとれば、これで、大安心というものさ。ねえ、修理」「…………」修理は、きょとんとして、修理を見つめた。